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皆さんは画像のお菓子を何と呼びますか?
私は「今川焼」と呼びます。しかしこれは余所行きの答え。
関西であれば「大判焼き」といわなければこのお菓子にありつくことはできません。
そして私の地元では「御座候(ござそうろう)」と呼ぶ方が通りがいい。
つまり、私は状況に応じて3種類の呼び名を使い分けているのですが、
関西出身、特に兵庫県出身の人間が「御座候」と呼んだり、大判焼きと呼ぶことを
大層ご満悦な表情で笑う輩がおるわけですな。そうです。東京生まれの人間です。

今更触れるまでもありませんが、彼らが標準語と思って話している言葉は東京弁であって、
標準語とはいえません。江戸の言葉といえばべらんめぇ調であって、東京弁という方言が
そこにあるにもかかわらず、そして自らが使っているにもかかわらず、地方の方言を笑うのです。
もちろん多くの人間が使っている言葉が他の言葉に対して優位に立つという考えは、
利便性の観点からいって否定できるものではありません。
となると、言葉によっては利用者の多い方言は関西弁になるため、必要に応じて東京弁は
関西弁になおすか、標準語を用いるべきなのですが、まあ、ゴチャゴチャいっても仕方ないので
一旦このへんで。閑話休題といく前に、ほぼ標準語を話すのは神奈川県民であって、
都民ではないことを付け加えておきましょうか。

さてさて、今川焼は一般名称とされておりますが、実際はどうでしょうか。
検索すればわかりますが、今川焼が一般名称のような顔をしてwikipediaなどに登場するものの、
検索では3倍以上の差で「大判焼き」の方が幅をきかせており、
今川焼を創業以来焼き続けている老舗「御座候」にいたっては、屋号でしかないのに
今川焼の3分の1のボリュームで検索に引っかかる始末。
回転焼きという呼称は大阪でのみ通用するような呼び方ですが、
今川焼と大差のない検索ボリュームです。

ことここに至っては今川焼は通名であって、便宜上仕方なく利用しているに過ぎず、
利用者の数、認知の度合いからいえば、今川焼こそ方言といえるのではないでしょうか。

言葉を笑い、出身地を笑う風潮は未だ消えません。冒頭の話に戻りますが、
そもそも東京は江戸弁、山の手言葉という強烈な方言があり、ここに北海道方面の方言、
関西の方言が混ざり込んで形成された首都圏方言というものがあるわけです。
べらんめぇ、〜ざます、〜だべといったものに、山梨などの方言で若者言葉の〜じゃん。
なんでもありの言葉のパラダイスなのですが、これを標準語、共通語とするのには無理がある。
利用者が多い方が共通語、標準語とするのか、首都の特権で言葉の線引きをするのか。

長年暗黙の了解となっている問題ですが、そろそろ決着をつけてほしいところ。


参考「御座候HP
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