野球とイジメ。これは切っても切れないものです。「でした」としたいところではありますが、やはり厳然と存在しているのです。私も野球少年で、1年生のころからベンチ入りすることがあったため、上級生からのイジメは受けた経験がありまります。例えば、全裸で踊らされたり、ノックを受けさせられたりする。拒否したらリンチなのですが、私と友人はこの伝統に真っ向から対立し、3年生とケンカ。結果、1年生の我々に出場停止の処分。納得できませんでした。「3年生は引退試合前だから」というのがその理由。人間の腐り具合と大人の汚さをいっしょくたにしたスポーツ。それが私の目にした野球でした。その後もイジメは消えることなく、一緒に野球部に入ったK君は全裸にスパイクという出で立ちでノックを受けさせられ、彼は練習中に吐くことを繰り返すようになり、ついに野球部を辞めました。

 また、イジメという問題以外にも様々な障壁があり、プロスポーツとして国内最大級の興行成果をあげている割に、まるで近代化していないのが野球です。野球は未だ、学問足りえずといったところ。代表的なのが、選手起用です。才能がいくらあろうとも、バントや盗塁ができない選手は試合から外されるという風潮や、エラーの少ない選手を優先的に使うという通り一遍な考え方が問題です。その選手が非常に小柄で、大柄な選手に比べて明らかに守備範囲、捕球の能力に乏しくとも、「エラー数(はじいたり、そらしたりした数)」の少ない選手が強打の選手より好まれます。これは少年野球のに顕著で、少年野球の監督やコーチは、当たり前ですが中学や高校、社会人、ましてやプロの監督とは違う。いわば指導者の残りカスです。驚くべきことに、ほとんどの監督が「小柄」で「守備」の人だった過去を持ちます。打つ才能も、投げる才能もなく、それらに恨みを持っているのに、野球の指導者をやっている。少年野球という世界の中で唯一の大人なわけですから、かつては虐げられる側だったけれども、彼らにとって今やこの世の春というわけ。こうして脈々とダメな指導者が有望株を潰している現状があります。


 4割打者より、2割の堅守の選手をレギュラーに置いた結果、県内1~3位のチームの選手を集め、優勝候補と目されたあるチームは、地方予選で1回戦敗退を続け、選手たちは野球を辞め、エース投手は肘を壊し、高校野球を諦めました。凝り固まった選手起用、例えば、2番打者はバントができなければならないといった「伝統」に殺されている才能は、想像以上に多いはずです。私の所属していたチームなどは、2番打者はセカンドでなければならないだとか、強打者は一人でよく、4番ファーストでなければならないなどというおよそ教師と思えない知性でチームを編成しておりましたので、全国大会出場チームの3番、県大会優勝チームおよび準優勝チームの3番4番はベンチないしベンチ外でした。貧打に喘ぐのは当然で、投手が気負って投げ続けるも誰も塁に出ることもなく、ゼロ行進で敗れる。すると監督は決まっていうわけです。投手力の問題、守備力の問題、バントが上手ければ…と。


 サッカーはこの辺りは実に柔軟で、より近代化されているように思いますが、野球はいかんせん遅れている。指導者の質も酷い有様。真に野球が学問できる日がくるのはいつになるのか、桑田さんが変えてくれるのか。昔を思い出しながら読んだ一冊でした。




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