聞くと見るとは大違いというが、見合い写真と同等ないし、それ以上に違っているのが大衆文学。名作と呼ばれ、名前程度は知っている作品、教科書で断片的に触れた作品、様々だろうが、本当に理解しているかといわれれば、文学を専門にしている人間でも難しい。微に入り細に入り知識を持っている読者が偉く、それ以外は論じてはならない、アンタッチャブルな領域に見える大文豪たちの世界。そうやって守り通した結果、現代の文学は見事世代間断絶してしまったのだが、その辺は別の話か。しち面倒臭いことは抜きにして、日本人として日本文学を名前程度しか知らないのはいただけない。作品は読めないが、著者の上辺だけでも撫でておきたいならば、本書は実に具合がいい。
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